歴史的な建築物や遺産の保存運動を推進する米ワールド・モニュメント財団(WMF)は、今年10月にニューヨークで記者会見し、2014年版「世界危機遺産リスト」の中に愛媛県大洲市の『少彦名(すくひこな)神社参籠殿』を選定。このニュースは愛媛新聞の記事で見ていたのですが、先日、念願の現場に行く事が出来ました。

少彦名神社10


WMFとはどんな組織?
ワールド・モニュメント財団(WMF/本部:ニューヨーク)は1965年に設立された非営利団体で危機遺産を「緊急に保存・修復などの措置が求められる文化遺産」と定義、保存や修復作業への助成も実施している世界規模の団体です。日本では過去に鞆の浦(広島)や京町家群(京都)も選定を受けています。
ここ少彦神社では歴史的に価値のある建築物を崩壊の危機から救うために地元有志の集まりである「おすくな社中」が中心となって財団に働きかけを実施。熱心な保存活動などが評価され、危機遺産に選定されました。

少彦名神社5

現場に到着してまず感じたのが「光のパワーがすごい!」ということです。
山の奥から感じる気のパワーの強さに圧倒されます。


少彦名神社6
「下宮」とあるのは、実は「本殿」が山頂近くにあり、そこまで行けない人のため(本殿までの参道は荒廃していてもはやけもの道になっています)に作られたものと理解しました。


少彦名神社9
大鳥居から約5分上ると「参籠殿」が見えてきました。
ここがWMFに選定された建物ですが、修復のためにすでに屋根瓦は除去されていました。
ここの神社は氏子を持ちません。
それは藩政時代に藩命により、山頂にある「少彦名命」の古墳の存在が伏せられ「入らずの山」とされていたから。なぜ「入らずの山」とされていたのか?をはっきり証明する資料は未だ見つかっていません。

氏子を持たない神社は近代になってオープンにされましたが、結局、氏子は今現在も存在せず地域の有志によって保存、修復作業が実施されています。往時だった昭和30年台までは参拝者は後を絶たず、盛況を極めましたが次第に神社は衰退、今現在に至っています。

懸け造りの参籠殿。
全国に120余りある「懸け造り」建築。代表例は清水寺(京都)、長谷寺(奈良)が挙げられますが、ここの参籠殿は93%以上が崖からせり出し「三方懸け造り」と呼ばれる珍しい建築方法です。
設計者は近くにある「臥龍山荘・不老庵(懸け造り建築)」の設計者と同じだというのが興味深いです。

1少彦名神社
参籠殿の中は床が抜けるほど荒れ果てています。

おすくな社中
ここ少彦名神社の修復保存活動をしているボランティア団体です。
ただ危機遺産に選定されたからすぐに財政援助がWMFから降りる訳ではなく、日々の活動が今後も評価され、認定を受けて初めて資金援助がされると言います。資金援助はまだまだ先の話であり、その援助を待っているうちに貴重な建物が崩壊する可能性も十分にあります。
いくら珍しく貴重な建築物でも「近代の建築」は文化財に指定されにくい現状があるのです。
上の赤い文字をクリックすれば社中のホームページが見れます


少彦名神社7
少彦名命(すくひこなのみこと)。
一寸法師のモデルになった神様は、常世(とこよ)の国から訪れた小さな神様で、大国主神(おおくにぬしのかみ)と協力して国作りをしたとされます。「風土記」や「万葉集」にも見え、穀霊・酒造りの神・医薬の神・温泉の神として信仰されています。愛媛の湯元・道後温泉は彼らによって発見され、道後温泉本館横の「玉の石」には少彦名命が残したとされるクボミを見ることができます。

画像は崖下から見上げた参籠殿の見事な足組です。
少彦名神社8
土台から木組み部分までかなりの傷みが目立ちます。
「おすくな社中」では募金活動を実施中です。
貴重な文化遺産を後世に伝えようとする団体の活動には頭が下がります。



次回は拝殿に向かう風景を書きたいと思います。




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